対面と遠隔併用でアクティブラーニング! 大東文化大学「NPOとNGOの社会学」授業レポート①

 大東文化大学で「NPONGO社会学」という授業を行っている。講義はほとんどなし、自分たちで追求したい(学生にとって切実な)課題を、他の学生たちに働きかけながら模擬NPO活動を展開し、活動で得られたものの考察をプレゼン、レポートしてもらうアクティブラーニングの授業である。

 去年まで環境創造学科の授業として前期に行っていた。今年は社会学部の授業になったものの、コロナ禍で授業の開始が遅れ、かつほとんどが遠隔授業になってしまった。わたしはどうしても参加型の授業をやりたいので後期に延ばしていただき、学科事務の協力を得て10/7から1/27までの15回の授業を対面、オンライン併用で行っている。

 毎回、大学HP上の掲示板に前回の授業報告と次回の予定を掲載している。簡単なレポートはFacebookの公開投稿でも行っているが、どうやってやっているのか知りたい、この時期学生たちの学習権を実現していくのが困難になっているのをどう超えていくか工夫を共有してほしいという声もあり授業レポートを何回かに分けて掲載したい。

 

授業記録1(20.10.7) 大東文化大学NPONGO社会学」授業記録①

<10/7の授業の概要>

  • オリエンテーション(授業のねらいと計画)
  • NPOのイメージ→NPOと企業、行政の違いから浮かび上がるNPOの特性、役割
  • 受講者にとって切実な「解決したいこと、やりたいこと」を出し合う(→次回グループ分け)

 

<各詳細>

NPOやボランティアについて本を読んでも意味がない。やらなくてはわからない→この授業では学生にとって切実な課題を出し合い似ている/近い課題で集まりグループをつくってそのグループで取り上げた課題を深めたり広げたりする活動をやってもらい、そこから得られたことをプレゼンしてもらう。

次回からグループ活動に入る。まずグループで課題を深めたり広げたりする方法(調査、アンケート、勉強会、セミナー、ワークショップ等)を検討し、グループ活動の計画をつくる。(授業10回分、授業外の時間を使ってもかまわない)。1/20の授業(第13回)あたりで活動の分析・まとめを行い、1/27の一限(第14回)でグループ活動のプレゼン、二限(第15回)で各個人のふりかえりとまとめのレポートを発表し皆で検討しあう。(レポートテーマ「この授業で学んだこと、それをどう活かしたいか」)

 

  • NPOのイメージ→NPOの特性・役割

各人にA4の紙にNPOのイメージを書いて発表してもらい、そのキーワードを使って講師がまとめた。(以下、K:キーワード)

K「非営利」→NPO(Non Profit Organaization)は非営利団体という意味だね。でもそれってどういう意味? それを明確にするには企業とNPOの違いを考えればいい。NPOのやることはタダでお金をもらわない? 違うね。企業も行政もNPOも皆K「事業を行う」という点では一緒だ。問題はその事業の財源と使い道だ。企業は「株式会社」を考えればいい。「株」って何? 配当だ。つまり企業は収益を分配する。NPOはどうする? そう! 活動のために再投資する。

K「行政が解決できないことを解決する」→そうだね。それはよって立つもの、動く基準になるものが違うからだ。行政は法律、条例、政策がないと動けない。目の前に困っている人がいてもすぐには動けない。それに対してボランティアはどうか? すぐ動く人がボランティアだね。ボランティアは自発的に動く一人一人の人を指している。NPOはOが付いているように団体のことを言う。社会貢献事業をやるボランティア団体がNPOだ。

  • 受講者8人が挙げた課題

写真①の通り。

10/7の授業では、早川君「コロナ禍への大学の対応に対して学生目線で考え動く」と藤井君「コロナで就職が不安」が一緒に、武石君「コロナで運動不足」、佐藤君「家にいることが多いが自炊ができない」、大槌君「コロナによる学生生活の変化」が一緒にやることになっている。次回よく話し合ってグループをつくりたい。

 

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写真①:学生たちが挙げた課題(20.10.7)

授業記録2(20.10.14) 大東文化大学NPONGO社会学」授業記録②

<10/14の授業の概要>

  • 課題出し→グループ分け
  • グループ活動

 

<各詳細>

  • 課題出し→グループ分け

今回初めて出席した2名(望月、清水)が課題を出し

写真②のように1,2回目合わせて11の課題が上がって

きた。よく話し合って次の3つのグループをつくるこ

とにした。

  • [大学]コロナ禍に対する大学の対応を学生目線で考え行動する(早川、望月、清水)
  • [生活]コロナ禍による学生生活の変化(大槌、大里、武石、佐藤)
  • [就職](コロナ禍の影響による)就職への不安(藤井、畑川)

 

  • グループ活動

後半はさっそくグループに分かれ、グループ活動の計画を話し合った。授業の最後に各グループの

話し合いの経過を報告してもらった。

1)[大学]:大学のほうでも学生に対するアンケートを行っているのでそちらも参考にしながら、自分たちでもアンケートを集め、それを分析して対策を考えていく。

2)[生活]:学生たちからLINEのアンケートなどを使ってコロナ禍の影響による生活上の問題を聞き出して分析する。

3)[就職]:企業等の採用や面談の現状を調査する。

 <それに対する講師からのコメント>

 初めの段階は、調査とその結果の分析から始まるが、NPOは社会課題の解決をしていく団体なので調査して終わりではない。そのあと調査結果をもとに集まりをひらき、勉強会やワークショップ(話し合いなど)を組織していく必要がある。その辺をふくめて計画を考えてください。

 

<10/21授業予定>

グループ活動(「NPO設立計画書」の作成)

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写真②:学生たちが挙げた課題とグループ分け(20.10.14)

授業記録3(20.10.21) 大東文化大学NPONGO社会学」授業記録③

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写真③:授業風景。この日教室に来たのは2人。

<10/21の授業の概要>

グループ活動(「NPO設立計画書」の作成)

 

<詳細>

4つのグループに分かれ「NPO設立計画書」を検討・作成した。

 1) [大学]コロナ禍に対する大学の対応を学生目線で考え行動する(早川、望月、清水)

 2) [生活]コロナ禍による学生生活の変化(大槌、大里、武石、佐藤)(大里、武石、佐藤は欠席)

 3) [就職](コロナ禍の影響による)就職への不安(藤井、畑川)

 4)[福祉の組織]社会福祉法人、福祉の企業法人、NPO法人の違い(小杉)

 

<グループ活動の進捗状況>

各グループの計画案

1)[大学]

・大学がとった学生アンケートを調べる

・独自にアンケ-トを集める

・両方を分析する

・対策を話し合う会を開く

2)[生活]

・コロナ禍により学生の生活がどのように変化しているか調査→(なぜ)を考えて、自分以外の学生はどう変化したか→解決策を模索する

3)[就職]

・コロナ禍での大学生の就職活動の現状を探り解決法を模索する

・学生間の課題や認識の共有をし、就活を支援する職員の意見や企業からの目線と合わせることで、それらに対して誠実で実りある回答を行う

掲示板やポスターなどの掲示物でアピール(相談窓口の設置も)

4)[福祉の組織]

社会福祉法人と企業法人、NPO法人との違いを調べる

川越市役所、同社会福祉協議会などに電話し当該組織にヒアリングに行く

 

<講師からのアドバイス

・調査の授業ではない。社会や地域の問題を解決するNPO活動の模擬体験の授業である。調査→分析→公表→公表に対するフィードバック→解決策の検討→解決策や提案の提示→実現のための行動 という流れで考えてほしい。行動までいかなくてもいいが、他の学生たちに解決策の検討や提示をするための場や機会をつくってほしい。必ず他の学生たちに働きかけをすること、その反応を報告することをプレゼンに含めてほしい。