生物多様性・農林漁業の保全と広域循環をつくる都市農村交流

1,都市農村交流とは“むらとまちの人・もの・情報が行き交う”こと そんなことは昔は当たり前だった。資源は偏在している。気候・地形・風土によって産物の特色も違う。ないものはあるところからもらい、あるものはないところに渡す。交易が人の暮らしを成り…

みんなが安心できる重層的コミュニティづくり

1,「誰一人取り残さない」ために何をしたらいいか 「誰一人取り残さない」-SDGsが課題にのぼってからよく聞くフレーズである。うたい文句のようにくりかえされるが、そのために何をしたらいいかは一向に明らかにならない。もやもやした気持ちでいたら、…

リレーションシップが持続可能な地域をつくるーキム・キソブ『生命の社会的経済』紹介

社会的経済については何冊か入門書を読んだが、その意味が今一つよくつかめなかった。が本書を読んでよくわかった。どうわかったのかを書いて紹介としたい。 交易のありようが社会のありようを決める 最近読んだ本の中で最もインパクトのあった本である。こ…

対面と遠隔併用でアクティブラーニング! 大東文化大学「NPOとNGOの社会学」授業レポート①

大東文化大学で「NPOとNGOの社会学」という授業を行っている。講義はほとんどなし、自分たちで追求したい(学生にとって切実な)課題を、他の学生たちに働きかけながら模擬NPO活動を展開し、活動で得られたものの考察をプレゼン、レポートしてもらうアクティブ…

アイヌの先住権を実現する

ウポポイ(国立アイヌ民族博)ができたと聞き、すぐに見に行きたいと思った。しかし、これができた経緯を知るにつけ、単なる博物館見学では済まないなと感じ、少し調べてみた。 手がかりにしたキィワードは「先住権」。というのは、アイヌ文化だけが切り離され…

一度勝ち取った参加型を後退させることはできない(大東大におけるPBL授業の堅持)

けさの朝日新聞に「小中高やディズニーはよくてなぜ大学はダメなのか」という至極もっともな学生たちの声が掲載されていた。実際、オンラインによる画一一斉授業の質の悪さを嘆く声は多い。 わたしの大東文化大学での「NPOとNGO」という授業はもう10年にわた…

 生活圏を変えるー関啓子『「関さんの森」の奇跡』を読んで

本書を読み終わった直後に現場を訪れることができた。新松戸駅から坂を登っていくと斜面林が多い。ははぁこれは谷戸地形だな。谷戸とは丘陵の谷のことをいい、関東地方の里山に多い地形である。谷の基部には湧水が湧き出すのでそれを利用して谷戸田をつくっ…

市民参加の自治的協同社会強化へ学びあいの場をー古沢広祐『食・農・環境とSDGs』を読んで

1995年に『地球文明ビジョン』(NHK出版)を読んで以来、古沢さんの描く人類社会のビジョンに近しさを感じてきた。今回それを継承し、より精緻に展開した本が出たというのでさっそく読ませていただいた。そのエッセンスを紹介したい。 古沢さんの世界認識の基…

災い転じて福となす

最近とみに、人間というものは自分のつくったものによって縛られる存在なんだなとつくづく思う。これだけ気候危機や世界の不平等化、貧困・格差の拡大が言われても、これまで馴れ親しんできたモノがあふれかえっているのにモノをつくり続ける過剰生産・成長…

〈生の全体性の回復ーハヴェル『力なき者たちの力』が提起するもの〉

この本の惹き文句の次の部分にピンときた。「東西冷戦下のチェコで、権力のありようを分析し、全体主義に抗する手立てを考え抜いたハヴェル」。日本もファシズムにはまだなってないが一種の全体主義で、私たち市民もそれを打ち破れないでいる。これは今の日…

体験学習:アクティビティからロングスパンの授業へ

20年近く「夏季集中授業」として取り組んできた「教育方法・技術D」の授業も、この8月に実施した授業を持って私が担当するのは終わりとなる。そこで<体験学習の授業がつくれるようになる>という明快なねらいを持って行われてきたこの授業の特徴を描き出し…

持続可能な地域づくりは担い手育成からー『学校教育3.0』(諏訪哲郎)は地域主導で

学校や教育を学習者中心のものに変えていくことを目指すアクティブラーニング研究会の仲間の諏訪哲郎さん(学習院大学教育学科/日本環境教育学会長)から『学校教育3.0』という本をいただいた。読みやすいブックレット状の本だが提案されている中身は濃い。 …

年頭にあたり<目指す地域の姿>

2018年、明けましておめでとうございます。 このブログでは、FB等で紹介できない長文の自分の考えや資料などを紹介していきます。よろしくお願いいたします。 アクティブラーニング研究会という持続可能な地域づくりと教育を関連させて考える研究会を立ち上…